昭和30年頃、お墓を造り、建てることは、大変な作業でした。
丁場と言われる採石場から採って来たお墓の材料(原石の小割)を加工するのは、全て手作業です。
大きな石を作業場に入れるにも一苦労です。人間の力で、石を転がしながら運びます。
その後、のみ㊟1・石頭(せっとう)㊟2で寸法取りをし、ビシャン㊟3を打ち、手で研磨するという作業でした。
お墓の前文字を彫るにしても、文字彫り用のみと石頭(せっとう)㊟4を使い、石こうを入れては彫り、また石こうを入れては彫りの繰り返しです。
前文字を彫るだけでも20日位を要します。
また、竿石の下の丸フトン㊟5も、石をのみ・石頭(せっとう)・ビシャンで加工した後、何度も磨いて造るため、丸フトンだけでも10日位を要します。
手作業の為、尺角のお墓(竿石30cm四方)を1基造るのに、7ヶ月位もかかりました。
出来上がったお墓を建てるのも、人の手です。
村の人全員で協力しあい、その家のお墓を建てます。
大きなお墓を、おうこ(木の棒)㊟6を使って、肩で担いだり、木のネコ車(運搬用の一輪車)㊟7を使って運びます。
大きなお墓ですので、二本又とチェーンブロック㊟8を使って建立します。
今は、大きな石を運ぶには、リフト㊟9を使えば楽に運べます。
文字彫りも、コンプレッサー㊟10でエアー彫り㊟11が出来るので、前文字だけで20日位もかかることはないでしょう。
このように、お墓を造り、建てるには、昔の人の知恵・技術・経験・それに全て手作業ですから体力も必要でした。
昔の話をさせていただきました。
㊟1 のみ
㊟2 石頭(せっとう)
㊟3 5枚ビシャン
㊟3 8枚ビシャン
㊟4 文字彫り用のみと石頭(せっとう)
㊟5 丸フトン
㊟6 おうこ(木の棒)
㊟7 木のネコ車(運搬用の一輪車)
㊟8 二本又とチェーンブロック
㊟9 リフト
㊟10 コンプレッサー
㊟11 エアー彫り(文字彫り機)